ヒト幹細胞培養上清液 最新ニュース
美容クリニックで行われるサイトカイン療法とは?
細胞の活性化を促し、新しい細胞を生み出す作用があるといわれるサイトカイン。近年では、サイトカイン療法を取り入れた美容クリニックや美容皮膚科が増えています。
そもそもサイトカインとはいったい何でしょうか?
本記事では、サイトカインを語る上で欠かせない幹細胞培養上清について学び、美容目的で行われるサイトカイン療法に期待できる効果、安全性やリスクについて解説していきます。
■幹細胞培養上清とは
幹細胞培養上清(培養上清)とは、幹細胞を培養する過程で生成される“上澄み液”のことを指します。液体の中には生理活性物質が大量に含まれています。
幹細胞に何らかの刺激を与えると(温度を変える・振動を与える・酸素濃度を変えるなど)、幹細胞は自らの恒常性を維持するために大量の生理活性物質を放出します。
生理活性物質は、分子量が大きい「サイトカイン」から、顆粒状の物質「エクソソーム」まで、およそ100種以上の多種多様な物質によって構成されています。
■サイトカインについて
幹細胞が産生する生理活性物質は、幹細胞の種類によって再生効果が異なります。骨髄・靭帯・脂肪・乳歯歯髄、4種類の間葉系幹細胞が良く知られていますが、中でもMCP-1とED-siglec-9という2つのサイトカインは乳歯歯髄由来の幹細胞で産生量が最も多いとされています。
サイトカインには細胞の活性化作用があり、組織を再生するために有効な環境(抗炎症・免疫抑制・細胞保護など)を作ることができます。また、加齢によって低下した細胞機能を修復する作用があり、エイジングケア効果にも期待されています。
■サイトカイン療法とは
主に免疫系細胞から分泌されるタンパク質を総称して「サイトカイン」といいます。サイトカインには、さまざまな種類があり、中でもEGF(上皮成長因子)が美容と関連性が高いとされています。細胞の再生を促進させる作用があるEGFと受容体が結合することで、肌の正常なターンオーバーを促し、新しい細胞に生まれ変わることができます。
▼幹細胞が持つ2つの特殊能力
幹細胞は、自分と同じ細胞を作る「自己複製能」と、皮膚や血液細胞など、さまざまな種類の細胞に分化する「多分化脳」を併せ持ち、際限なく増殖し続けます。2つの能力によって細胞組織の再生などを担う特殊な細胞です。
この幹細胞から分泌されるのが、さまざまな成長因子を含むサイトカインです。サイトカインは、生体内に約800種類も存在するといわれています。
▼どのような美容効果が期待できるのか
サイトカインを肌に投与することで、皮膚の表皮細胞や線維芽細胞に分化します。線維芽細胞とは、皮膚の真皮にあるコラーゲンなど肌の弾力を作り出す細胞です。線維芽細胞より血管に近い場所に存在するのが「真皮幹細胞」です。真皮幹細胞が持つ自己複製能と多分化脳によって、新しく元気な線維芽細胞を生成することができるのです。
サイトカインを注射や点滴、導入など、治療目的に合った方法で投与することによって、新しい線維芽細胞を再生することができます。結果、体内でコラーゲンやヒアルロン酸を増殖させて肌老化を抑制できるというわけです。
▼サイトカイン療法に期待できる美容効果
・ターンオーバーの乱れを正常に戻す
・ヒアルロン酸を増殖させ、肌のハリや弾力を取り戻す
・肌に潤いを与え、バリア効果を保つ
・くすみ、肌荒れ、毛穴の開きなど、表皮に現れる肌トラブルを改善する
・ハリ、タルミ、シワなど、肌老化のあらゆるトラブルを改善する
■サイトカイン療法の安全性、副作用やリスクなど
美容目的のサイトカイン療法では、
・歯髄幹細胞
・骨髄幹細胞
・脂肪幹細胞
・靭帯幹細胞
上記4種類が使用されています。
幹細胞培養上清液とは、もともと私たちの体内に存在する歯髄・骨髄・靭帯・脂肪などの幹細胞を培養し、その培養液から幹細胞を取り除き、さらに増殖性を持つ細菌類を徹底して滅菌処理した後にシャーレに溜まった上澄み液です。
この上澄み液の中に含まれる成長因子を用いるのが、サイトカイン療法(幹細胞培養上清療法)なのです。
サイトカイン療法は、生きている幹細胞を完全に除去したものを用いるため、幹細胞治療で懸念される発熱やアレルギー反応など副作用のリスクはほとんどありません。安全性は極めて高いとされています。
▼注意点
サイトカイン療法は、事前に医師の診察が必要です。既往歴や現症を医師が確認し、サイトカイン療法の目的や効果、安全性やリスクについて説明を受けた後、医師と患者の同意の下で施術が行われます。
妊娠中、または妊娠の可能性がある方、感染症やアレルギー疾患などをお持ちの方は、安全性を考慮して治療ができないことがあります。また、効果の現れ方には個人差があり、人によっては時間がかかる方もいるようです。
カウンセリングや事前説明を行うクリニックの下で、健康状態や体質など医師の診察を受け、一人ひとりに合った適切な治療を受けましょう。
《参考書籍》
脅威の再生医療~培養上清とは何か~ 上田実(著)
《参考資料URL》
https://www.healthcare.nikon.com/ja/ss/cell-image-lab/
https://tokyocancerclinic.jp/lang/en/
https://azabu10imabayashi.com/
https://jihiken.jp/cure/post-26084/
https://be-story.jp/article/3901
https://acell-clinic.com/rebirth/about.html
https://mikami-naika-clinic.jp/health_enhancement/index.html
https://www.clinic-chikusahills.com/
https://www.shiseido.co.jp/collagenlabo/know/mechanism/